dahlia kaoriのつぶやきエッセイブログh.kaori


2006 韓国ソウルツアー日誌


3月16日(Thu)

インチョンの空港にて現地のPASTEL MUSICのスタッフと、大坂から一足先に到着しているDJのグルーヴあんちゃんと待ち合わせ。軽く挨拶した後、空港を出る。東京より寒い。ホテルに荷物を置いた後、スタッフの方々が開いてくれたコリアンバーベキューの食事会へ。いきなり初日からかなりの賑わい。もうすでにツアーが終わったかのように思える。その後、打ち合わせを兼ねて、別のダイニングへ。ライブをするクラブTOOLのあるホンデ近辺を歩く。芸大が近くにあり、クラブやライブハウスが数多い地域、とは聞いていたけど、ホントにクラブが密集してる。夜遅いのに、ショップの照明や街灯でかなり街が明るい。そして街のいたるところに明日のイベントのポスターが貼ってあることを知る私達。

17日と18日の2夜連続のイベントに出るダリヤ。

17日はDJでもライブでもどちらでも良いと、レーベルから聞いていたので、あんちゃんと「DJしましょうか」と打ち合わせていたのだけど、ポスターにはLIVEの文字。ハピネスの春日君に確認をしてもらったら、2日ともライブを、とのこと。言葉の違いによる連絡ミスみたい。ということで、翌日は2本ライブをやることに。予想的中。全然平気。


3月17日(Fri)

今日はクラブとギャラリーのライブ2本立て。お昼はサムゲタン。
どこに行ってもまずはキムチやにんにくが出てくる。みんな辛いけど、みんな美味しい。その後、クラブでリハーサル。今回は打ち込みと生楽器両方使うので、時間いっぱいリハを重ねる。 その後、少し移動。20~30分空きができたので、途中からメンバーと別行動。ギャラリーへ行く前に、通訳さんと近辺のお洋服屋さんを何軒か偵察。韓国の洋服は日本よりも色がカラフルな気がする。が、買うまでの時間はなく、その後すぐさま、タクシーで移動。




SSAMはビルがまるごとギャラリーになっている。
現代芸術家を支援していて、毎年世界中から選出された作家の作品をここで展示しているのだそう。そのレセプションパーティーが今日。ここでのライブは私とギター、ピアノ、という3人編成のアコースティック。リハ終了後、対バンのPASTELのアーティスト、Misty Blueのメンバーに話しかけられ、日本語で挨拶をされる。1階ではレセプション用のフードの準備をしている。メンバーとも「それを軽食につまめばいいよね」と言っていたのに、パーティー時刻にはかなりの人だかりで全然動けない。仕方なく、みんな外で夕食。

いざライブの時間になるとホールは超満員。
club SSAMと書かれたハコのフロア(床)に、お客さんが隙間なく座ってる。パフォーマンスの後にすぐ出番ということで、舞台そばで待機。ドアが開いた時にちらっと見えたパフォーマーは、ほぼ裸の女の子だった。一心不乱に斧を振りかざしている。すごい所に来たみたい。「現代芸術は分らないです…」と、通訳さん。あれは分らなくて良いと思うわよ。

アコースティックということで、リラックスムード。モードダンプロワの曲を20分ほど演奏。リズムに合わせて身体を揺らしているカップルの姿を歌いながら目にする。なんだか可愛らしい。そう言う時が歌ってて一番嬉しい。

終了後、楽屋へ。さっき会ったMisty Blueのギタリストがフロアで聴いていてくれたらしく「声がきれいですー」と言ってくれた。それも日本語。彼はいったいどこまで日本語が喋れるのかしら?と興味が沸く。が、すぐに着替えてください!と言われ、クラブへ移動するために下ですでに待機していた車に飛び乗る。まるで、「もう飛行機が出ちゃいます!」っていうくらい切羽詰まった状況。移動が全部車なので、未だにSSAMがどこにあったのかさえ不明。こんなスケジュールも海外っぽくて面白い。その後、今日のハイライト、TOOLへ無事到着。



3月17日 @club TOOL


オープニングが流れステージへ。
フロアに向かってオーディエンスの前に立つと、物凄い数のレンズが目に飛び込んできた。
みんなデジカメかカメラ付き携帯を手にしている。まるで記者会見みたいな光景。
写真を撮るのが好きなのは日本人だけかと思っていたけれど、そうでもないみたい。
ライブ後、メンバーも「びっくりした」と言っていたほど、レンズ率が高い中、
一瞬だけ挨拶して、こちらも『LENZ 28』でスタート。

クラブでのライブは『green fields』以外は打ち込みを併用。
DJのグルーヴあんちゃんが今回のライブ用にオープニング曲と『モード・ダンプロワ』収録曲のリズムトラックを制作。その仕事量はアルバム1枚作れちゃうほど。しかもCD音源のサンプリングを所々交ぜながら、クラブ仕様に仕上げてくれたのはさすが!。『nonfinito samba』『the measles』と続き、『HITSUGI-PURIFIER』。これは私の打ち込んだリズムにギターやピアノを乗せて演奏。音源よりも豊穣な感じの仕上がり。「(雰囲気が)コスメっぽい」と、ピアノの長谷くん。確かにそんな雰囲気。

この日、ギャラリーに続いて2回めの演奏となる『green fields』は現地のテレビCFで使われた曲。それが韓国の有名な化粧品会社のCFだったらしく、それがきっかけでダリヤを知ってくれた人が増えたと聞く。そういえば、その時もライブの話がなんとなく来てた気がする。この曲だけはギターとピアノ、それに歌、のアコースティック演奏。


その後、ラストまで順調に演奏が進む。最後、歌い終えてステージから下りようとしたら、すぐさまアンコールが起きて、下りるに下りられない状況に。急きょ、メンバーとその場で打ち合わせ、バージョン違いの『GOOD FLIGHT!』をもう一度やる事に。メンバーのソロ回しもかなりの白熱ぶり。その盛り上がりのまま、1日目のライブが終了。


イベント終了後、着替えて食事会場へ。その途中、露店商が並ぶ通りを歩く。靴を売っている。とても可愛い。試しに履いてみる。ぴったり。その後、すぐ近くの別の店でも、ちょうど欲しかったタイプの靴に巡りあう。東京でも同じようなデザインの靴を探していたけれど、どれも足に合わなくてダメだったこともあり、即購入。けっきょく買い物したのはこの時の10分間だけ。街中は夜にも関わらず、人だらけ。公園にもフツーに人が沢山いる。その様子はまるで昼間のよう。ほかの繁華街もこんな感じなのかしら。

この日の打ち上げ会場で、ようやく『Humming Urban Stereo』のジリンと初めましての挨拶。彼は日本のカルチャーに関心が高いらしく、音楽の話をしながら、ミュージシャンだけでなく、好きな日本の俳優や小説家なども教えてくれた。本人は背が高くてスマートな印象。今回のイベント共演は彼のリクエストでもあるとレーベルから聞いていたので、本人に尋ねてみたら、yesとのこと。どうもありがとう。

食事も一段落したところで、ホテルへ。ハードだったけど、とても充実した1日が終わった。



3月18日(SAT)



朝。目覚めた後、お湯を湧かして、日本から持ってきたハーブティーを飲む。今日は13時くらいまで時間があるので、少しゆっくりしながら、部屋でライブの選曲。

ロビーに集合後、車でTOOLへ向かい、リハーサル。曲順を組み直し、昨日やらなかった『lilic』と新曲を入れる事に。リハ終了後、PAさんに「(ダリヤの音楽に)春を感じます」と言われて思い出した。そういえば、『the measles』の原曲だったデモに『春のゼラチン』と仮タイトルをつけてた。だから昔はその曲をゼラチンって呼んでて、それが生まれ変わって『ハシカ(=the measles)』になった。懐かしい記憶。また新しい春がやって来る。

リハ終了後は2、3時間ほど自由時間ができた。
みんなでタクシーに乗り、見物がてら、中心地のデパートへ。タクシーが日本に比べてリーズナブル。降りる際、ハピネス春日君が「receipt(領収証)」とドライバーに何度も言うものの、通じず。最後に日本で「領収証!!」と叫んだら出てきた。便利なのか不便なのか今一つ不明。その後デパートで時間を潰してホンデのお粥店に到着。ここで水キムチというスープを口にする。一見透明なスープに見えるけど、味はキムチ。お粥でもやっぱりキムチが付いてくる。この生活を続けてたら、キムチがない食事が物足りなくなるのも分る気がする。納豆や豆腐、梅干しや蕎麦といった食生活の日本と、キムチやとうがらし、焼き肉という食文化(勿論それだけじゃないけど)の韓国。毎日の食事が国民性を形成するのに大きな役割を果たしている気がする。


今日はライブの前にautograph session。入場者のチケットやCDにサインをする時間が組み込まれていた。HUSのジリンと並んで座る。それが終わった後もスタッフに渡された『musics for my funeral』のジャケにサイン。サインの下にハートマークをつけていたら、ジリンにどうしてハートをつけるのかと聞かれる。なんとなく寂しい気がするから、と答えると、彼も同じような理由で「僕の場合はネコを描くんだ」と言うので、実際に描いてもらう。


ジリンの別ユニット、instant romantic floorのライブの後、ダリヤの出番。今日のトリはHumming Urban Stereo。フロアは満員。前日の時点でチケットはソールドアウト。スタッフに先導してもらいステージへ。周りのミュージシャンから聞いていた通り、韓国のファンは日本のファンに比べてとってもHOTな印象。『lilic』のイントロでCDにも入ってるメロディが流れると歓声が起こる、といった具合。次々と演奏して行く中で『ペットスタイル』の演奏途中、いきなり全ての音がブツっと切れるハプニング。会場中一瞬びっくり。PAのミス。回復後、「もう1回やっていい?」とオーディエンスに聞いて、頭から歌い直す事に。後で、スタッフからかなり申し訳なさそうにされたものの、私は逆にボルテージが上がって、ものすごく楽しかった。それから、この日初めて演奏した新曲含め、ラストの『nonfinito samba』まで歌い終えて、ダリヤの韓国ライブはすべて終了。燃焼。満喫。みんな、どうもありがとう。



楽屋になっているVIPルームへ戻り、しばらく休憩。あんちゃんはこの後もDJ。トリの演奏を終えたジリンらと写真撮影。その後、VIPルームは打ち上げへ。Pastel Musicのジェイさんから「thank you!!!」と、とてもセンスの良い花束をもらう。次の日のフライトが早いので、お酒で寝過ごさないために(?)朝まで寝ないで行きましょうと言う話になり、全員で別のお店に移動。朝方、ホテルへ戻る際、空港へ来れないスタッフとお別れの挨拶。


楽しい時間はあっという間に過ぎる、ということを体感した数日間。
空港で軽い食事をした後、ここまで送ってくれたPastelのソンさん、ユナさん、別便で帰るあんちゃんとお別れ。ダリヤとしては2年以上ぶりのライブ、加えて初の海外演奏、と『未知の世界』だらけだったけど、神様にもらった御褒美みたいなツアーでした。私達の幸せな4日間がこうして終わりました。また行きたいです、韓国。